勉強会開催報告:『手の倫理』
株式会社アイデアファンド(本社:東京都港区)は、2025年2月18日に『手の倫理』(伊藤亜紗著)を題材として、触覚を通じたコミュニケーションに関する社内勉強会を開催しました。
本書の概要
本書は、西洋の伝統的な触覚論を3つの観点から説明したうえでそれらを捉え直し、触覚(手)を通じた具体的なコミュニケーション、そしてその中で立ち現れる人間関係を踏まえて、「よきさわり方/ふれ方」について考察している。
ディスカッション
本書の中で伝統的な触覚の特徴として挙げられていた「持続性」に関して、参与観察における期間や回数といった問題と類推的に考えることができるという議論がありました。さらに、オンラインにおけるコミュニケーションと対面におけるコミュニケーションの差異に関して、議論がありました。また、本書で取り上げられている事例を覗く中で、勉強会の参加者が自身の実体験を思い出しながら、その体験の理解を事後的に深めるという場面がありました。
プレゼンターから一言
本書の中で提示されている考えや具体的な事例から、勉強会の参加者が自らの生活経験において触覚的な関わりが前景化するようなコミュニケーションについて顧み、それを参加者間で共有できる機会になるのではないかと思い、本書を取り上げさせていただきました。本書を読むことは私にとって不思議な感触をもたらすものでした。書かれたことをただ客観的な情報として受け止めるだけでなくて、思わず過去の身体的な記憶が思い出されました。詳細には立ち入らないものの、時に気恥ずかしい思いをしたり反省を促されたりすることもあれば、逆にとても活き活きとした経験を思い出したりと、大いに揺さぶられました。このような揺さぶりを勉強会の参加者が経験することで、ビジネスにおけるフィールドワークの限られた参与観察期間の中で、着目しうる場面を広げるきっかけになるのではないかと考えました。また本書は人類学の分野における書籍ではないものの、具体的な状況に関する問いである「倫理」について、具体的な行為に即して考えようとする筆者の指針は、大いに学ぶところがあります。 (竹中寛道)
ideafundについて
「アイデアで資本主義を面白く」をコーポレートミッションとして掲げる株式会社アイデアファンドでは、文化人類学をはじめとするプロフェッショナルが集い、行動観察調査を通じてインサイトの導出や新しいビジネスシーズの創出に取り組んでいます。
- 代表取締役CEO:
- 大川内 直子(おおかわち なおこ)
- 会社設立:
- 2018年1月4日
- 事業内容:
- 文化人類学を応用した行動観察調査・分析・エグゼキューション
- コーポレートサイト:
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