エスノグラフィーを利用したイノベーション実践力調査

調査概要

株式会社アイデアファンドは、エスノグラフィーの手法を用いて、大手設計会社のイノベーション実践力調査を行った。

ポイント

  • イノベーション創出活動の担い手と参加者それぞれが感じていることの違いを発見し、それを解決する道すじを示したこと。
  • エスノグラフィー調査を通じて組織の課題を見つめ直し、実際の組織改革につなげた先進的な事例であること。

調査目的

設計・監理という限定領域を生業としてきた設計会社が新たに目指すべきイノベーション活動の探求に資すること。

調査手法

エスノグラフィー調査から、イノベーション実践時の顕在課題の抽出と潜在課題の洞察を試みた。

  1. プレ・ブリーフィングの実施。
  2. イノベーション創出活動に携わるステークホルダー(経営層、企画者層、実行層)に、エスノグラファーがデプスインタビューを実施。
  3. デプスインタビューの結果を分析し、当事者とともにワークショップを行い、今後の対応について検討。

      調査結果

      この設計会社は、社内コンペでアイデアを募集し、優秀なアイデアには予算を付け、提案者に事業化させるというイノベーション創出活動を実施していたが、そのアイデアがビジネスとして成功するに至っていないという課題があった。

      デプスインタビューから、以下のようなケースが確認された。

      • 提案者には通常業務もあり、自らのアイデアの事業化を目指すための時間の確保が困難だった。
      • 外部の専門家の力を借りようにも、どこに相談すればいいのかなどの知識がなかった。
      • アイデアを重視する社風がありアイデアの創出は得意だが、そのアイデアをビジネスに結びつけるためのスキルについては、会社としてのフォローが不足していた。

      イノベーション創出活動で直面する様々な困難を理解し、その対応策について社内で前向きに議論することが本プロジェクトの目的であった。当事者との議論では、アイデアを創出することだけでなく、アイデアの事業化に挑戦し成し遂げる人を称賛するという組織文化を醸成することが重要である旨提言を行った。

      その後の対応

      エスノグラフィー調査を通じて確認されたファクトをベースに、社内でイノベーション創出活動の全体像や戦略、組織のあり方が再検討され、その結果も踏まえ、イノベーション創出活動を支援する新組織が設置されるに至った。

      ideafundについて

      「アイデアで資本主義を面白く」をコーポレートミッションとして掲げる株式会社アイデアファンドでは、文化人類学をはじめとするプロフェッショナルが集い、行動観察調査を通じてインサイトの導出や新しいビジネスシーズの創出に取り組んでいます。

      代表取締役CEO:
      大川内 直子(おおかわち なおこ)
      会社設立:
      2018年1月4日
      事業内容:
      文化人類学を応用した行動観察調査・分析・エグゼキューション
      コーポレートサイト:
      https://ideafund.co.jp/

      本ケーススタディに関するお問い合わせ先
      info@ideafund.co.jp