ワクチン忌避に関する文化人類学的調査
調査概要
株式会社アイデアファンドは、特定非営利活動法人日本医療政策機構の委託を受けて、日本におけるワクチン忌避の実態について理解を深め、その対応指針を得るため、文化人類学的手法を中心とした、複合的な調査を行った。
この調査はワクチン全般についての「接種の阻害要因」や「接種を促進する方策」を探るものであったが、調査時期(2021年11月から2022年2月まで)がちょうど新型コロナウイルス感染症の流行と重なったため、政策関係者だけでなく一般の人にも関心の高いテーマとなった。
ワクチン忌避の背景にある心理・要因を深く理解したうえで、各種ワクチン忌避要因とその対処案を示すことにより、クライアントの政策提言に貢献した。
ポイント
政策提言のベースとしては定量的調査が行われることが多いが、本調査では、ワクチン忌避がどのような原因によって生じているか、また、いかなる方策によって忌避感情・忌避行動が取り除かれうるか等深層心理も含めて探るため、文化人類学者によるインタビューを行うなど、多様な社会科学的手法を用いた。
・専門家ヒアリング
・アンケート調査
・MROC(Market Research Online Community)(1.)
・デプスインタビュー
- MROC(Market Research Online Community)とは、オンライン上に調査のためのクローズドなコミュニティを作り、コミュニティ内での商品・サービスに関連する議論や会話を収集・分析する調査手法。ファシリテーターがコミュニティの参加者同士の自然な発話を促すことで、思いもよらないようなユーザー/コンシューマの意見や感想が得られることがある。調査期間は数日~1ヶ月程度、参加者数は数名~数十名と、目的や予算に応じて柔軟に設計できる。
調査手法
個別の専門家ヒアリングとMROCによってワクチン忌避の実態を確認し、デプスインタビューによってワクチン忌避の要因を調査した。
最終的に、グループ討議形式の専門家レビューによってによって調査結果へのフィードバックを収集し、最終報告の方向性を確定した。
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専門家ヒアリング
日本におけるワクチン忌避の実態に関し、専門家(複数の小児科の大学教授、国際感染症専門医、クリニック院長)への聞き取り調査を行い、専門家による現状理解および課題の共有を受けた。
MROCのスクリーニングに必要な条件および後続リサーチにおける仮説を検討した。 -
MROC
事前にアンケート調査を実施し、ワクチンに否定的な人や懐疑的な人を中心にリクルーティングを行い、オンライン上のコミュニティを作った。選定に当たっては、都道府県ごとの人口(年齢、性別など)の偏りが生じないよう配慮した。
各人の価値観や環境についての参加者同士の意見交換を通じて、ワクチン忌避に関する実態・事例の調査を行った。 -
デプスインタビュー
MROC参加者の中で特にワクチン忌避傾向の強い人々を対象に、ワクチン忌避がどのような原因によって生じているか、また、いかなる方策によって忌避感情が取り除かれうるか等を、人類学者によるインタビューによって探った。
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専門家レビュー
Ⅰ.~Ⅲ.に基づく分析結果を、専門家会議にて共有し、各専門領域の観点からフィードバックを受け、調査の確からしさを確認した。
ideafundについて
「アイデアで資本主義を面白く」をコーポレートミッションとして掲げる株式会社アイデアファンドでは、文化人類学をはじめとするプロフェッショナルが集い、行動観察調査を通じてインサイトの導出や新しいビジネスシーズの創出に取り組んでいます。
- 代表取締役CEO:
- 大川内 直子(おおかわち なおこ)
- 会社設立:
- 2018年1月4日
- 事業内容:
- 文化人類学を応用した行動観察調査・分析・エグゼキューション
- コーポレートサイト:
- https://ideafund.co.jp/
本ケーススタディに関するお問い合わせ先
info@ideafund.co.jp